ドラマ「ハヤブサ消防団」の横溝正史っぽさについて
池井戸潤さんの小説もドラマもどちらも触れた事がなく、
池井戸作品にミステリーのイメージが無かったので、
最初はそんなに真剣に観てなかったのですが、
途中からどんどん引き込まれていき、
最終回前にはネトフリに加入。過去回を繰り返し視聴して、
最終回に備える、と言うハマり具合でした。
中村倫也演じるミステリ作家の三馬太郎が、
東京から父親の故郷のハヤブサ地区に移住する。
そこで放火と殺人事件が起きると言うのが物語の始まり。
このミステリ作家の三馬太郎、明智小五郎賞を受賞したと言う設定。
エピソード3で、作品を褒められた三馬太郎のセリフに
「横溝先生の足元にも及びません」と言うものがありました。
言われてみれば、このドラマ、横溝正史の映像化作品を
参考にしていると思われる部分がありました。
私が子供の頃、横溝正史の小説や金田一映画は大流行してまして、
私も小説はいくつか読んだりしてました。
映画やドラマはテレビで観ていたと思います。
ファンと言えるほどではありませんが、ある程度の知識は
ありますので、ドラマ「ハヤブサ消防団」の横溝正史っぽさについて
書いておきたいな、と思いました。
(1)外見が怪しい謎の登場人物がいる
野々山映子。白髪で顔が半分くらい隠れており、
どうも言葉がうまく発せられないらしい。顔に傷もある?
→横溝正史の作品にはせむしの男や、戦争で傷を負った傷痍軍人、
「祟りじゃ」と人を脅かす濃茶の尼と言った、
平成には消えた「昭和の怪奇色」と言う感じです。
(2)古いアルバムの中にある写真がヒントになる
三馬家にあった山原展子の写真。
→「女王蜂」と言う作品の中で、旅芸人一座の写真が
謎の解明に使われていました。
(3)わらべ唄
野々山映子が口ずさむシーン、山原展子の子供時代の回想シーン。
→「悪魔の手毬唄」と言う作品がありました。
手毬唄や俳句に見立てた殺人事件、と言うのは横溝作品に
よく出てくる印象がありますね。
(4)過去の因縁が現在の事件のきっかけになる
和尚の腹違いの妹である、山原展子がイジメられていた事など。
→「犬神家の一族」犬神家の三姉妹が、妾の青沼菊乃に
壮絶なイジメをすると言うシーンがあります。
(5)中年俳優が若い時の姿も演じる
エピソード2で、宮原郁夫と山原賢作の学生時代の喧嘩シーンを
また、エピソード9では、麿赤兒もヅラを着用して、
30年以上、前の姿を演じていた。
→上記(4)に書いた「犬神家の一族」で三姉妹がイジメるシーンは
若い頃を演じていました。
「この子の七つのお祝いに」と言うミステリ作品では、
映画化の際、40代の岩下志麻さんがセーラー服を着て
10代を演じたと言うのも有名な話です。
とりあえず思いつくのは、以上になります。
原作は未読で、ドラマと小説は結構違うらしいので、
ドラマ化の際の脚色で追加された部分が多いのでは、と想像します。
いつか読んでみようと思います。
最後に、余談となりますが、金田一シリーズの映像化と言えば、
「よ〜し、わかった!」と断定しながら間違った推理をする警部がいて、
コメディリリーフとして人気があります。
飄々とした、コメディリリーフポジションで、面白かったです。
良かったですね。外見は似てないのに、発声が似ていて、
物凄く上手でした。素晴らしかったです。
三馬と中山田のコンビで事件を解決するミステリーシリーズとか
あったら、面白そうだなぁ、観たいなぁ、と思います。