アメリカン・コメディ好きの部屋

アメリカのコメディとコメディアンが好きです。気が向いた時に更新します。

バチェラー・ジャパンが面白過ぎた(完全ネタバレ長文感想)

 Amazonプライムのオリジナル配信で「バチェラー・ジャパン」を観た。

バチェラーとは独身男性の意味で、アメリカで製作された「The Bachelor」という人気リアリティ番組がもとになっている。アメリカ版は21シーズン制作され、225カ国以上で放送された超人気番組。今回、その日本版をAmazonとワーナーブラザーズ、YDクリエイション(吉本興業電通が組んだ会社)などで製作し、2月から、週一でエピソードが配信され、4/28に最終回が配信された。

 

 


【バチェラー・ジャパン:コンセプト解説】男1人vs女25人の恋愛リアリティ番組

 

 

番組のコンセプトは、お金持ちの独身男性1人を、独身女性25人が奪い合うと言うもの。最後の1人に選ばれた女性とバチェラーは結婚の約束をするらしい。「結婚は顔と金の等価交換」フェミニストの小倉知加子先生も言っていたが、金持ちに群がる美女達の壮絶なバトルが見られるとは……うん、これはゲスな興味が惹かれる番組でゲスよ。

 

日本版のバチェラー第1号に選ばれた久保裕丈さんは、東大卒のイケメンで、アパレル系サイトの元社長だそう。「結婚以外は全てを手に入れた男」だそうで、期待大。

その久保さんと結婚するために集まった、25人の美女達は、モデル、女優、着付師、女子大生といった面々。中にはウェイトレスや愛犬家、カレーショップ店員という肩書きの人もいて、「……要するにフリーター?」と思ったりしたが、華やかなドレスに身を包んだ女性達が並んでる姿は、なかなか壮観だった。

 

 

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「プロ彼女」軍団とリアリティ・ショーの落とし穴

 

 

 

この参加女性達「一般公募で選ばれた」というふれこみなのだが、配信が始まった頃にネットに流れた情報によると、どうやら、8割くらいがタレント事務所に所属しているようだった。

 

全員の肩書きを芸能活動寄りに書くと「モデル&読者モデル&レースクィーン8人」「アイドル5人」「女優&女優見習い3人」「タレント2人」「グラビアアイドル1人」「ダンサー兼シンガー1人」「美容研究&音楽活動1人」「ミスコン優勝者1人」。その手の情報がなかったのは「ネイリスト1人」「事務1人」「大学院生1人」のみ。

25人中、一般人っぽい人は3人くらいになってしまう。

 

 

ここで「ハイハイ、やらせやらせW」と納得して終了する人も多いだろう。

 

 

しかし、もし、自分がこの番組の制作側だとしたらどうだろうか。世界的に大人気の老舗リアリティー番組の日本版第一弾。絶対に失敗できない。そうなると、完全な素人を使うよりも、タレント経験のある人の方が色々とコントロールしやすいのではないか。タレント経験がある方が、TV撮影される場合の段取りも分かる。仕事上の守秘義務も守れるだろうし、事務所所属の女性なら、本人のバックグラウンドも分かっている。当たり前だが美人やスタイルの良い女性が多く、被写体としても映えるだろう。

 

また、番組に出る女性達にとっては、最後の1人に選ばれなくても、番組に出る事によって名前と顔が売れる可能性がある。うまくいけば玉の輿、悪くてもブレイクのきっかけになるかもしれない。お互いにメリットがあるから成立してる事なのだと思う。最近話題の「プロ彼女」も、この手の半芸能人みたいな人達なんだろうなぁ、きっと。

 

しかし、この番組側と出演者側にとってのメリット、逆に考えると、リアリティ・ショーに必要な「本物のリアクション」が引き出せるのか、という不安にもつながる訳で。お仕事半分のタレントばかりだと番組が盛り上がらないのでは? と当初は思っていた。リアリティ・ショーの落とし穴である。

 

 

matome.naver.jp

 

 

鶴愛佳の「わたしは女優」感

 

 

 期待と不安に胸をふくらませながら配信を観始めたが、いくら美女とは言え、25人も女性がいると、最初は誰が誰だか見分けがつかなかった。場違い感が凄かったギャルのゆきぽよだけは一発で覚えたが、つぎつぎと現れる美女の群れ……10人も続くとさすがに飽きる

 

そんな中、女優の鶴愛佳さんは「名前が鶴なので」とメッセージ付きの折り鶴を手渡し、バチェラーにも視聴者にも記憶に残る、良い先制攻撃をしかけてきた。よく言えば和風美人の彼女は、この後も色々と印象に残る行動をした。バチェラーにベタベタしすぎて女性陣からブーイングを受けたかと思うと、バチェラーと話す事ができなくて泣いてる子を見かけたら、その子の為にバチェラーに助言をしたり……。

 

この「泣いてる子がいるから、彼女と話してあげて」という鶴さんの行動、私は観ていて笑ってしまった。ライバルを助けてあげる良いシーンなのだが、彼女の言動がいちいち芝居がかっているのだ。イイ女を演じてると言うか……。

 

別の女性と2人で話してるバチェラーの元へ行き、その女性を追い払う。その後、バチェラーと2人になったところで「泣いてる子いるよ、向こうで」。それに対してバチェラーが「嘘、誰?」と聞くと「○○ちゃんの前に、誰があなたの横にいたの?」。誰だか分かったバチェラーが彼女を捜しに行くと、その後ろ姿に聖母のような微笑みを向け、そっと立ち去る……こんな思わせぶりで手の込んだ言動、普通の人はしないよ! 役者かよ!(あ、女優さんでしたね)「キャラメルボックス」という有名劇団の俳優教室出身だけあり、つねに観客を意識した行動をとっていて、お見事。染み付いてるのでしょう。

 

 

他にもぶりっ子でバチェラーに気に入られるも、腹黒い行動で女性陣をいらつかせる柏原歩や、美人だけど気が強く、勝負に敏感な岡田ゆり子、見た目が派手なのに、気が弱くてすぐ泣く豊島はるか、など、人数が半分くらいに減って来たあたりからグンと面白くなってきて、毎週の配信が楽しみになってきたのだ。

 

 

 

バチェラー久保は本当に富豪なのか?

 

 

 

沖縄でマリンスポーツを楽しんだり、ヘリで空中デートをしたり、温泉で混浴したり、日々楽しくデートしながら、毎回、誰かが脱落していく。女性陣にとっては天国と地獄を味わう日々。バチェラーは毎回「辛い決断」「厳しい決断」と言いながら、バッサバッサと女性を切り捨てて行く。

 

連日のデート場面を観ていた視聴者の中には「久保さん、アクティビティ(=遊び)重視しすぎW」と言う感想も出て来た。確かに真面目に結婚相手を探しているのであれば、一緒にスポーツして楽しく遊べるかは余り重要ではないだろう。しかし、これはテレビ番組。動きのあるスポーツや景色の綺麗な場所でのデート、観光スポットに行くのは視聴者へのサービスである事を忘れてはいけない。

 

さらに、デートの舞台となった「南の島を貸し切り」「ロボットレストラン貸し切り」「ヘリコプターデート」等は久保さんのポケットマネーで行っている訳ではないだろう。久保さんは、アパレルサイトの売却により数億の資産があるのでは、とネット上では推測されていたが、テレビ番組の為に自腹を切らされる出演者と言うのは、ありえない。アメリカの資産家であれば、自家用ヘリや別荘、豪邸の類いを持っている場合もあり、そういう人達の真似をさせられているだけだろう。金持ち演出である。久保さんは「ハイスペックイケメン」ではあっても、うなるほどのお金を持ち、一生遊んで暮らせるような、大金持ちではないのだと思う(注 小市民の見解です)。

 

 

 

婚活は美人コンテストではない

 

 

※ここから先は勝敗につながる完全ネタバレなので、番組を楽しみたい方は読まないで下さい。

 

 

25人いた女性が最後の3人までに残った所で、デート三昧の日々は終わりを告げる。本国の「The Bachelor」では、最後に残った3人と寝てみて身体の相性を確かめるらしいが(に、肉食……)日本ではそんなの無理だから、3人の実家訪問をする形式になっていた。最後の3人に残ったモデルの古賀あかねさんは、スタイルがよく華やかな雰囲気で、バチェラーと並ぶと非常に絵になる美女だった。しかし、元ヤンらしく、語彙が「スゴい」「ヤバい」「スゴい」「ヤバい」だけで形成されていて、東大卒とはどう考えても不釣り合い。

 

バチェラーも「最初は『あわねーなー』と思っていた」らしいが、良いところまで勝ち残ったので、古賀さん本人もいつしか本気で結婚できると思っていたようだ。番組内でも「私が一番いい女」と答えていたが、結婚や婚活は美人コンテストではない。相手の男性と生活を共にしていく中で、育ちの違いは無視できないだろう。

 

 

例えば、日本語を含めた三か国語が話せる人間と、日本語しか話せない人間がいたとしたら、三か国語話せる人間が日本語しか話せない相手に合わせるのは当然である。できる相手ができない相手に合わせる事はできるが、できない相手ができる相手のレベルに合わせるのは不可能なのだ。勉強したり努力して身につける必要がある。

 

彼女はそこで落とされていたが、もし勝ち残ってバチェラーの実家に連れて行ったら、絶対に悲惨な事になっていたと思う。バチェラーの実家のご両親は非常に上品な方達で、ユーモアもありそうだが、笑えない展開になっていた筈である。

 

 

 

全力投球の森田さんと、見た目が幼い蒼川さん、勝者はどっち?

 

 

 

そんな競争の中で最後まで勝ち残った美女2人。1人は政経学部の大学生、蒼川愛さん、22歳。前髪をまっすぐおろしたショートボブが似合う、きゃしゃで幼い雰囲気の女性だ。正直「ギラギラした女の争い」には似つかわしくない、可愛らしい女性であるが、バチェラーからは「一緒にいて癒される」「ついつい目で追っちゃう」とかなり気に入られている事が分かるコメントを貰っている。

 

対抗馬はウェイトレスの森田紗英さん、24歳。彼女に対してバチェラーは最後の方で「正直言うと、毎回、落とすかどうか迷っていた」とコメントしていた。では、なぜ彼女は敗退しなかったのか。それは、彼女が最初からバチェラーこと久保裕丈のことが大・大・大好きで、とにかく本気で勝負していたからである。

 

森田さんは最初の頃、バチェラーからまったくデートに誘われず、ウジウジし続けていた。デートに行く他の女性に嫉妬し、バチェラーには「バラ下さい!」と直訴するもやんわり断られる。周囲の女性メンバーは、そんな森田さんを見て「彼女よりは私のが上」と見下すコメントをする。前述した鶴さんがバチェラーと話せなくて「泣いてる子いるよ」と言ったのは、実は森田さんの事。「メソメソ泣いてる女の子」が前半の森田さんだったのだ。

 

 

 

一視聴者からしても、メンタルが心配になる森田さんだったが、シーズン後半で形勢逆転をする。それは「大好きなおばあちゃんが撮影中に亡くなったんだけど、リタイアするのが嫌で頑張っている」「おばあちゃんは私の花嫁姿を見たがっていたから、リタイアしたら天国のおばあちゃんに怒られる」とバチェラーに告白したからだ。自分もおばあちゃんが大好きなバチェラーは、思わず涙ぐんだ。このエピソード以降、バチェラーは森田さんを評価するようになり、結果、最後の2人にまで残ったという訳だ。

 

その他にも、デートに行けなかった女子メンバーの不満の矛先が森田さんに向かい、いじめられて泣いてしまったり、大自然の中で「久保さん、だ~い好き〜」と叫んだり、まるで「少女漫画のヒロイン」を地で行く彼女。視聴者から見ても「彼女は本気で久保さんと結婚したいんだな」と言う熱意が伝わる女性だった。

 

 

 一方の蒼川さんは、特に目立った動きがなかったが、バチェラーと最初に2人でデートした時に、バチェラーから「考えずに話せる」とコメントされる。これは重要なひと言である。つまり、他の女性陣に対してバチェラーは「この子には何を話そうかな」と気を遣って考えながら相手をしている、という事である。これは疲れる

 

 

 

所詮、日本の男はロリコン……なのか?

 

 

 

今回、芸能人崩れ(失礼)の女性達ばかり集まっている「バチェラー・ジャパン」において、なぜ蒼川さんとだけ自然に話せるのか、それには2つの大きなポイントがあると思う。

 

 

 

ひとつは、蒼川さんが若くて「結婚、恋愛に焦っていない」から冷静でいられる事。

ふたつめは、蒼川さんは早稲田の学生だから、東大卒とレベルがあっている事。

 

 

 

ひとつめの点について。30代の参加者女性はどんどん落とされ、最後まで残ったのは20代ばかりだった。20代には精神的余裕があるが、30代には「恥をかきたくない」という見栄があって、テレビ的に面白い行動がとれなかったから落とされたのではないか。好きな気持ちよりも、思い切りぶつかった時に失敗するのが怖い気持ちの方が勝っていて、腰がひけていたのではないか、と想像するのである。

 

バトルが終わった後の暴露番組内で、30代のKONANさんという出演者が「久保さんは若い子が好きなんですか?」と質問をした時に、自ら「老け感出てたんちゃうかな」と自分の事を語っていたが、若くて行動力のある20代女性と、老け感を気にしてる30代女性では、年齢ではなくメンタルの部分で負けている気がするのである。(テレビの絵面的にも若い方がいいという理由も、おそらくある)

 

ふたつめの点については、蒼川さんの実家訪問の頃に(本編ではなく今田耕司トーク・セッションの時だった気がする)で「良い大学に入った」と匂わされていたが、大学名は明かされていなかった。番組だけ観ていた視聴者には分からないが、この学歴は他の美女達にはないものであろう。久保さんは、蒼川さんにだけは自分のレベルを下げずに会話する事ができたのである。若くて可愛くて話が通じる女性……蒼川さんは久保さんにとってパーフェクトに近い女性だった筈である。おそらく。

 

 

 

視聴者が応援したくなる女性と、バチェラーが好きな女性は違う

 

 

 

久保さんが蒼川さんを選んだ時、彼女の見た目の幼さから「うわ、ロリコンW」とがっかりした視聴者がいたり、「森田さんのが結婚に前向きなのに、見る目ない」と言う感想がネットで見受けられた。

もし、これがリアリティ・ショーではなく、恋愛ドラマであったなら、バチェラーのために必死で努力し、泣いたり笑ったり、祖母の死を乗り越えたり、というドラマが豊富な森田さんが選ばれるであろう。

蒼川さんは、非常に可愛らしいが、優等生タイプなのか、テレビカメラ前で大きく感情をあらわにした瞬間がない。もともと、怒ったり落ち込んだりしていても、大きな感情表現をしない人なのかもしれない。そもそも、彼女がバチェラーの事を好きなのかも、実はあまり伝わってこない。結婚する気があるようにも見えないし……。

これは、視聴者からすると応援しがいのないタイプである。

 

 

しかし、バチェラー久保目線で見れば、蒼川さんといる時の表情や台詞で蒼川さんしかいないな、というのはよく分かるのである。「自分が」一緒にいて居心地がいい、と言った相手は蒼川さんしかおらず、他のメンバーに関しては「彼女は」こんな所が魅力的ですよね、と言う客観目線の意見を述べているのである。

 

 

さらに、恋愛においては、相手の事を好きすぎるのは失敗の元である。なぜなら、芸能人とファンの関係(=崇拝)に近いものになるからである。これは、相手の方が魅力が高く、自分は魅力が低いですよ、と言ってるのも同じ。やはり、お互いに気持ちの釣り合いが取れているか、もしくは男性の方が好きな量がちょっと多いくらいが、カップルやパートナーになりやすいと思われる。

 

 

 

と、言う事で納得の結果であった。(むしろ森田さんが勝ってたら、ヤラセを疑うぞ)

 

 

 

蒼川さんも実は元地下アイドルで、豊島はるかさんと同じ事務所の女性だった。早稲田在学中の地下アイドル……かなり異色である。

 

 

もし、蒼川さんが参加してなかったら、他に久保さんに似合う女性はいたのかな、と考えた時、岡田ゆり子さんは多分実家がお金持ちのお嬢さまではないかと思われ(なぜなら着付けやフラワーアレンジが得意だったから)、悪くなかった気がするが、彼女もバチェラー久保の事が好きになり過ぎていて、追いつめすぎていたので、本命は無理かなぁ、と思う次第である。

 

 

 

 

今回のシーズン1の配信が、日本のプライム・ビデオにおいて視聴率ナンバー1だったそうで、シーズン2の製作も決定したそうだが、男女とも参加者募集中なので、我こそはという勇者は応募してみてはいかがかな。

 

 

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『エイミー、エイミー、エイミー!』と銃乱射事件

現在、日本でも絶賛公開中の映画『エイミー、エイミー、エイミー ! こじらせシングルライフの抜け出し方(原題 Trainwreck)』。

 

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子供の時に両親が離婚し、父親から「一夫一婦制は悪だ!」との教えを叩き込まれた主人公のエイミー。それから23年後、大人になったアラサーのエイミーは、やりがいのある仕事、気の合う友人もいるが、男性とはけして真面目にはつきあわない。彼氏はいても結婚なんて考えないし、一夜限りの相手も掃いて捨てるほどいて、現代的な自由な女代表! とばかりにシングルライフを満喫していた。

ドラマ『SATC(セックス・アンド・ザ・シティ)』のサマンサもかくや、と言った風情のエイミーだが、仕事で出会ったスポーツ・ドクターのアーロンと意気投合してから、自分の人生を見つめ直す事になり……。

 

主演のエイミー・シューマーはアメリカで大人気のコメディエンヌで、脚本も本人が書いている。自作自演の初主演映画である。監督は40歳の童貞男』や『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』と言った、下ネタ上等のコメディが得意なジャド・アパトウなので、ゲロとかチンコとかクンニなどのお下劣ネタも多い。だが、一見、自由奔放に見えるエイミーの実際は、親の離婚による影響で安定したパートナーシップを築けない女性。アダム・スコットのDVDスルー作品『ファミリー・アゲイン 離婚でハッピー!?な僕の家族』の原題である、A.C.O.D.(Adult Children of Divorce)なのである。

そんな彼女がぽっちゃりした身体で幸せを掴むために奮闘する姿は、そこらの美人女優には出せない愛らしさがあり(キューピー人形とかシャーリー・テンプルっぽい)、最終的には観る者の心をつかむ事うけあいである。

 

 

映画の内容を紹介したところで、本題に入る。

 

 

2015年7月、アメリカで『エイミー、エイミー、エイミー!』が上映中の映画館で銃乱射事件が起こった。容疑者は58歳の白人男性で、3人が死亡、9人が負傷したそう。

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主演のエイミーは当然ショックを受け「なぜ私の映画なの」と語っていたという。

このニュースを聞いた時、私は『エイミー、エイミー、エイミー!』の予告にある、彼女のやりたい放題のイメージが不愉快だったのではないかな、と思った。これが同じ小太り女でも『ブリジット・ジョーンズの日記』だったら、他人の神経をそこまで逆なではしないだろう。「リア充爆発しろ!」もしくは「性の喜びを知りやがって…」ではないが「いい気になって何様だ」という気分になる男性もいると思う。

 

 

top.tsite.jp

 

東京タラレバ娘』の主人公も大好きだと言う『SATC』に関しては、知り合いの男性に「とにかくあいつらムカつくんですよ。くそ高い服とか靴とか買いまくってて」と語っていた人がいた。また『夢をかなえるゾウ』でお馴染み、作家の水野敬也さんも自身のブログで「SATC臭」という一種の批判記事を書いている。

 

ameblo.jp

 

「仲の良かった女子にドラマを勧められたがクソつまんなかった」という出来事から、「あいつらは男にモテない」という話につながって行く水野さんのブログ。記事自体も面白いが、コメント欄で『SATC』のファンが猛反発してる所も面白い。

 

 

『SATC』や『エイミー、エイミー、エイミー!』の描写は「今まで男性の十八番だった性的な品定めを女性が女子会でしたり」「性的な主導権を女性が握っていて、男性は使い捨てであったり」と、男女の逆転現象を描いていて面白いけれど、どこか女性が男性の真似をしてはりあっているだけのような、居心地の悪さも感じる。男女平等とは、女性が男性と同じように振る舞う事とは違う訳で。

 

 

余談だが、日本の独身女性に対する『SATC』の浸透力は高いようで、『東京タラレバ娘』も『エイミー、エイミー、エイミー!』も『SATC』を踏襲したピンクのキラキラロゴになっている。

 

Sex and the City

Sex and the City

 

 

www.ntv.co.jp

www.interfilm.co.jp

 

 

 

話を銃乱射事件に戻すと、事件後のエイミー・シューマーは2015年10月10日に自身がホストをした回のSNLで、銃規制に反対する人達を皮肉り揶揄するようなスケッチを演じている。

 

www.youtube.com

 

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日本のHuluでも過去に字幕付きで配信されていたが、単純に「銃を規制しろ」と訴えるのではなく、銃規制反対派が文句を言いにくいつくり(いわゆるほめ殺し)になっていて、非常にスマートなスケッチだと感じた。

 

 

また、日本のNetflixで配信中の「エイミー・シューマーのレザー製ですが何か?」はエイミーのスタンダップの舞台で、終盤に事件についてのネタを披露している。銃乱射の犯人には重度の精神障害があり、DVの犯罪歴があったそうで、そういう人間が銃を手に入れられるのは間違っていると主張していた。しかし、そのネタにたどり着くまでが、ほぼほぼ下ネタだった為、かなり唐突な感じがしたが、もしかするとこの話が一番したかったのかもしれない。

 

 

 最後に、先ほどのSNLでのホストの回で、私が個人的にウケたのは、あまりにバカバカしくて「ドリフ大爆笑」かと思った飛行機ネタ。『エイミー、エイミー、エイミー!』の友人役のコメディエンヌ(SNLレギュラーのヴァネッサ・ベイヤー)と再共演している。

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Netflixは加入しないと観れないが、 YOUTUBE上にはエイミー・シューマーがトニー賞を獲ったテレビシリーズ「Inside Amy Schumer」のスケッチが沢山アップされているので、映画が気に入った人は検索してみてはいかが。

www.youtube.com

『ラ・ラ・ランド』公開記念! エマ・ストーンに恋した男の物語 後編

前回までのあらすじ 『ラブ・アゲイン』を観て、エマ・ストーンに恋をしたジム・キャリーは、エマへの愛を語るキモいビデオレターをネットに投稿する。全世界がドン引きしたその行為の裏には、それなりに深い理由があって…… というようなお話。

この先の記事は、前編を読んでからお読み下さい。  

makarena3.hatenablog.com

 

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さて、それから約1年後、2012年の6月3日に放送されたMTVムービーアワードで、エマ・ストーンは、その年に新しく設立された「MTVトレイルブレイザー(先駆者)賞」を受賞する。その際、エマの過去作の共演者達が彼女の素晴らしさを讃えるビデオが流された。

 

 


Emma Stone receiving an MTV Trailblazer Award

 

vimeoには画質が良い動画がアップされているが、埋め込むと重いようなので、リンク先だけ張っておく事にする。

Emma Stones Trail Blazer Award on Vimeo

 

 

出演者は、スティーブ・カレル(『ラブ・アゲイン』)、ミラ・クニス(『ステイ・フレンズ』)、オクタヴィア・スペンサー(『ヘルブ ~心がつなぐストーリー~』)、アナ・ファリス(『キューティ・バニー』)、ジェイソン・サダイキス(『ROCKER 40歳のロック☆デビュー』)と言ったそうそうたる面々。

 

最初は、みな真面目に褒めていたが、アナ・ファリスが「シャロン・ストーンって最高の女優よね」「エマ・ストーン? 誰それ?」とボケたあたりから様子がおかしくなる。そして、エマとは共演した事のないジム・キャリーが、例の動画をネタにした内容で、オチ要員として登場し会場の笑いをとったのである。

 

この動画をネットで発見した時、私はホッとした。「これで、ジムの面目が保たれた」と。捨てる神あれば、拾う神あり。MTVのスタッフはジムのダダすべりを挽回するチャンスを与えてくれたのだ。アカデミーには嫌われていても、MTVには好かれているジム・キャリー。今までに何度も賞をとっている。

『エースにおまかせ!』や『トゥルーマン・ショウ』でベストパフォーマンス賞、『Mr.ダマー』ではベストキス賞、『ケーブルガイ』と『グリンチ』ではベスト悪役賞などなど。もちろん、MTVムービーアワードでは、どれだけ賞をとっても箔付けには全くならないのであるが。

 

さらに、MTVムービーアワードの放送と時期をあわせたであろう、2012年6月18日、エマ・ストーンのインタビューが掲載された「ニューヨークマガジン」が発売された。そこでエマは、ジム・キャリーのビデオに関する諸々の出来事を語っている。

 

www.huffingtonpost.com

 

エマが語る事実関係は以下の通り。

ジム・キャリーの例のビデオが投下された8月24日より少し前の、2011年6月5日、ジェイソン・サダイキスが司会をしたMTVムービーアワードで、エマは『ラブ・アゲイン』の共演者のスティーブ・カレル、ライアン・ゴズリングと一緒に「悪役賞」のプレゼンターとして出演していた。「悪役賞」の次に、音楽ゲストのフー・ファイターズを紹介したのが、ジム・キャリーだった。そのMTVの会場で司会のサダイキスとエマは、ジム・キャリーのそばで立ち話をしていた。SNLのレギュラーだったサダイキスは、同年の1月8日、ジム・キャリーがホストを務めたSNLで共演しており、ジム・キャリーの事を「コメディの天才だ」と褒めたたえていた。そういう出来事があったから、ジム・キャリーのあのビデオを観た時は、もの凄く奇妙だった。もちろん、本当に光栄だったけれど”

 

要約すると、「ジムが自分の事が好きならば、ネットに投稿せずとも、直接話す機会があったのに、その時は気配すらなかった。だからあのビデオを見て、ナニコレと思った」という事である。いやぁ~ホント災難でしたね。

 

ちなみにジェイソン・サダイキスが「コメディの天才だ」と絶賛したという、1月8日に放送されたジム・キャリーのホストの回は高視聴率だったそうで、日本にもニュースが流れて来ていた。

eiga.com

 

 

またその日の放送で、ジム・キャリーとサダイキスが共演したスケッチも、YOUTUBEにあがっているので、是非観て欲しい。モノマネ芸人からスタートしたジム・キャリーの超絶顔芸を活かしたスケッチである。天才。


Psychic Medium - Saturday Night Live

 

 

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一件落着した後のジム・キャリーはと言えば、2013年に『キック・アスジャスティス・フォーエバー』と『俺たちスーパーマジシャン』の2本の出演作品が公開された。後者はスティーブ・カレルが主演し、また製作としても関わっている。

『俺たち~』は興行的には失敗したものの、MTVムービーアワードの件と言い、スティーブ・カレルはおそらくジムに好意的な人物なのだと思われる。思い切りスベったジム・キャリーの事をフォローしてくれたカレルには、ジム・キャリーのいちファンとして、菓子折りを持って御礼を言いたい心境である。

ちなみに『俺たち~』のジム・キャリーはスティーブ・カレルのライバルのマジシャン役。ジム・キャリーらしい稚気を感じさせるキモカッコいい演技で、役柄にハマっていた。

 


The Incredible Burt Wonderstone trailer

 

かたや、その後のエマ・ストーンは、『アメイジングスパイダーマン』シリーズに出演する傍ら、御歳80歳のウッディ・アレンに気に入られ、『マジック・イン・ムーンライト』『教授のおかしな妄想殺人』に続けて主演する。しかし、それぞれ当時の共演相手役の年齢が、コリン・ファースが54歳、ホアキン・フェニックスも41歳で、作品の内容より、エマ・ストーンの「ジジ転がし」の才能の方が印象に残ったのであった。

マジック・イン・ムーンライト』でのコリン・ファースエマ・ストーンのラブシーンを見て、「コリン・ファースがいけるなら、ジム・キャリーにだってチャンスあるよな」と思ったのは私だけかもしれない。

 


映画『マジック・イン・ムーンライト』予告編

 

 

余談の余談であるが、『ラ・ラ・ランド』の天文台のシーンに既視感があるなと思っていたのは、『マジック・イン・ムーンライト』でも天文台に登るシーンがあったからなんですね。今、気がついた。 

 

『ラ・ラ・ランド』公開記念! エマ・ストーンに恋した男の物語 前編

ラ・ラ・ランド』でアカデミー賞の主演女優を見事獲得したエマ・ストーン。彼女に対して、ある俳優が公開ラブレターを送ったのをご存知だろうか。彼の名前はジム・キャリー。1990年代に大人気となったコメディアン兼俳優である。

 

事件は2011年8月24日に起こった。ジム・キャリーが自分の公式サイトに、突然、エマへの愛を告白する動画をアップしたのである。

 


Jim Carrey confesses his love for Emma Stone!!

 

ジムの主張を簡単にまとめると「エマ・ストーン、君はとても美しい。自分が若かったら結婚したい。でも年の差があるし(当時エマは22歳でジムは49歳)無理だろう。最近、とみに老いを感じるし。オシッコの切れも悪いんだ……。君は特別にかわいい、このまま成功して芸術的な仕事を続けてくれ。(無音で)愛してるよ」。

カメラ目線でエマへの愛を訴えるジムの姿は、エマの主演作『小悪魔はなぜモテる?!』のパロディのように思われた。

 

この動画がアップされた翌日、フォーブスの公式サイトに、辛辣な記事が載った。

www.forbes.com

 

 「The Worst Thing About Jim Carrey's Video To Emma Stone」というこの記事の結論は「最悪なのが、ジム・キャリーがビデオの最後、声を出さずに『アイ・ラブ・ユー』と言う姿。アゴが震えていて、まるでジャスティン・ビーバーを前にしたティーンのようだった。もっと真摯に演じていたら、印象が良かったのに。これこそ、キャリーがロビン・ウィリアムスジェリー・ルイストム・ハンクスのようなドラマチックな俳優のレベルに達しない理由だと思う」

よほどキモかったのであろう。たった一本の動画で、彼の俳優人生まで完全否定。同記事によると、エマ・ストーン本人はビデオ投下の同日に、自身のYOUTUBE公式チャンネルで“Should I be flattered or seek an order of protection?(光栄に思うべきか、護衛をつけるべきか迷うわ)”とコメントしていたらしいが、現在は見当たらないので、削除されたようである。

 

また、別のサイトでは「このビデオが『Funny or Die』にアップされていたら笑えたのに」と言う、もっともな意見もあった(『Funny or Die』とはコメディアンのウィル・フェレルらが創設したコメディ動画の専門サイトの事)。

本気なのか冗談なのか、笑っていいのか戦慄すべきなのか、エマ本人を含め、見た人を中途半端で落ち着かない気分にさせたジム・キャリー、コメディアン失格と言われても仕方がない、ダダすべりの大失態であった。

 

 

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本国アメリカだけではなく、遠く離れた日本でも多くのゴシップサイトがこの件を取り上げ、「ジムの最新作『空飛ぶペンギン』の宣伝では?」「Youtube上でキモい愛の告白をするのが流行ってるらしい」など憶測が飛びかった。実際に、ジムの公式サイトはこの動画がアップされた事で、一時的にサーバーがパンクしたらしく、炎上商法を疑われても、無理はなかったようだ。

 

日本に住むジム・キャリーのいちファンである私は、なぜ、こんな動画をジムが投稿したのか分からなかった。パートナーであったジェニー・マッカーシー(元プレイメイトのタレント兼女優。メリッサ・マッカーシーの従姉妹)と2010年に破局した事は知っていたし、エマ・ストーンが可愛い事も分かっているが、「なんでまた急に」「どなたか、この飛行機の中にお医者様はいませんか?」など、色々と心配になったものである。

 

だが、1本の映画を観た事によって、その謎はとけた。

2011年11月に日本公開された『ラブ・アゲイン(原題:Crazy,Stupid,Love)』である。スティーブ・カレル主演のロマンチック・コメディで、真面目なエマ・ストーンがプレイボーイのライアン・ゴズリングと出会い、恋に落ちる役を演じていた。つまり『ラ・ラ・ランド』のミアとセブである。

ラブ・アゲイン』の全米公開は2011年7月29日。ジムのビデオ投下は8月24日。この映画を観て、ジムがエマに恋をしたのは間違いなかった。

 


Crazy, Stupid, Love - Trailer

 

この作品のエマ・ストーンが魅力的なのは言うまでもないが、実はもっと重要な事がある。『ラブ・アゲイン』の監督であるグレン・フィカーラジョン・レクアは、2009年のジムの主演作『フィリップ、きみを愛してる!』の脚本家兼監督だったのだ。ジムは『フィリップ~』の脚本に惚れ込み「完璧な脚本でお金を払ってでも出たい」と考えた。また、『フィリップ~』の監督がなかなか決まらなかった時に、脚本家の2人を監督として推薦したのもジムだった。彼らにとって長編映画の監督ははじめての経験だった。自分が惚れ込んだ脚本家コンビの監督2作目を確認するつもりで、ジムは映画館に行ったのだろう。

 


フィリップ、きみを愛してる!

 

もうひとつ重要なのは、主演のスティーブ・カレル。彼は、2003年にジムの主演作『ブルース・オールマイティ』でライバル役を演じて注目された。それまではテレビの『The Daily Show』というコメディ番組に出演していたが、大作映画に重要な役で出たのは、この時がはじめてであった。ちなみにカレルは当時、自分の出演シーンが全部カットされるかもと思っていたらしい。だが『ブルース~』は大ヒットし、カレルの知名度もあがった為、2007年に作られた続編の『エヴァン・オールマイティ』では、脇役だったカレルが主役を演じるまでになった。

 

余談だがブルース・オールマイティ』で、ジム・キャリー演じる主人公の特殊能力によって、生放送中に大失敗をさせられるスティーブ・カレルのシーン。カレルのクソ真面目な雰囲気が非常に面白い。


Bruce Almighty - Evan Baxter News Report (HD) Funny Scene

 

 

カレルとジムは同年代。『ブルース~』から『ラブ・アゲイン』にいたるまでの約10年、カレルは着実にキャリアを積み上げて、『40歳の童貞男』のようなコメディだけでなく、大人向けの深みのある作品にも主演できる、魅力あるスターに成長していた。

ひるがえって、2011年に公開された、ジムの主演作『空飛ぶペンギン』は絵本を原作にした子供向けの作品で、出来が良いとは言えなかった。日本においては、ジムがスターになってから初めてのDVDスルー作品でもある。

 

ジムにとって、『ラブ・アゲイン』という作品は、同じ業界にいる身として、単に映画を観て感動する以上の「何か」を感じさせる作品だったのだと思う。自分がキャリアの後押しをした監督達が、素晴らしい作品を撮った事には感動しただろうし、自分より格下だった地味目の俳優に、追い抜かれたようにも感じたのではないか。

いわば石川啄木の「友がみな我よりえらく見ゆる日よ」というアレであるが、下の句である「花を買い来て妻としたしむ」事が、諸事情により出来ず、様々な思いが溢れ出して、エマ・ストーンへの唐突な愛情表現(文字通りCrazyでStupidなLoveっすね)という形で現れたのでは、と想像するのである。有り体に言えば、ミッドライフ・クライシスである。

 

 

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長くなったので、後編に続く。

 

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