私にとって、現時点での生涯ベスト映画は『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』になります。この映画の主演、脚本を手がけたコメディエンヌ、クリステン・ウィグの主演ドラマ「パーム・ロワイヤル」がアップルTV+で配信されていたのに、つい最近気づいたため、遅ればせながら観始めました。
クリステン・ウィグはSNLのレギュラーとしてメインをはり、SNL在籍中に『ブライズメイズ』を製作し大ヒットさせました。星の数ほどいるSNL出身者で、主演映画をヒットさせたスターは大勢いますが、SNL在籍中に(親友と共同で)脚本を書いて主演し、大ヒットさせたスターはおそらくいないはず。少なくとも女性メンバーの中では、トップクラスのスターと言って良いでしょう。
そのため、SNLシーズン39でのクリステンの卒業時は、かなりの特別扱いをされていました。卒業生総代としてクリステンが呼ばれ、ミック・ジャガーとともにダンスを踊り、最後は番組プロデューサーのローン・マイケルズも出てきて、お別れをしていきます。他のシーズンでここまで丁重に見送られたキャストはいないと思います。
SNL卒業後のクリステンはリブート版の『ゴーストバスターズ』主演や『ワンダーウーマン1984』の悪役、また『ブライズメイズ』の脚本を一緒に書いた盟友と再タッグを組んで『バーブ&スター ヴィスタ・デル・マールへ行く』などに主演しました。
どれも面白かったのですが、前者2作は若干、子供むけの題材であり、『バーブ&スター』は女性版『Mr.ダマー』というか、見た目も中身も子供っぽくてダサいおばさん2人の珍道中という、そもそも企画を通すのが難しそうな内容で、『ブライズメイズ』のようにリアリティもありつつ、笑えて泣けて、ロマンスもある映画を超えるのは、ちょっと難しいかな、と思いました。
www.youtube.com↑「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のパロディから始まる『バーブ&スター』の予告篇
しかし、今回の「パーム・ロワイヤル」は第1話から『ブライズメイズ』を彷彿とさせ「キタキタ、これこれ」とファン(というか私)の心を掴みます。
まずはドラマ冒頭、クリステンが塀をよじ登っているシーンは、『ブライズメイズ』で金持ちの彼氏の家の門から降りられなくなるシーンを思い起こさせます。また、クセの強そうな女性陣が集まっている事も同様。私が個人的に「女性版J.K.シモンズ」と呼んでいるコワモテ女優のアリソン・ジャネイ、デビッド・リンチ作品から『ジュラシック・パーク』まで幅広く演じるローラ・ダーン、コメディエンヌの大御所キャロル・バーネットらがおり、迫力たっぷり。
ヒロインと最初に親しくなる女性とテニスのダブルスの試合をするところや、豪華なドレスの試着室も出てきますし、モチーフのあれこれが「待ってました!」と言いたくなる要素で出来ています。
ちなみに「パーム・ロワイヤル」のクリステンの役は、元ミスコン荒らしの美女という設定です。原作があるそうですが、アマゾンの口コミによるとかなり違う内容のようですね。
「パーム・ロワイヤル」での金髪、日焼けしたクリステンを観ていて思い出したのは『ブライズメイズ』以外に、SNL時代にクリステンが演じていたスケッチのひとつ「The Californians」。カリフォルニアに住んでる頭の悪そうな人たちのソープオペラという内容です。フレッド・アーミセンがバカっぽい喋りをしていて、ビル・へダーが笑いをこらえられないのが良いですね。
現在、第5話を観てるところで、泥酔したクリステンが大失敗をするシーンで笑ってしまいました。これこれ。こういうのが観たかったんですよ! 続きが楽しみです。