アメリカン・コメディ好きの部屋

アメリカのコメディとコメディアンが好きです。時間がある時に更新します。

『マリー・ミー』面白かった

ジェニファー・ロペス主演のロマンチック・コメディ

『マリー・ミー』をレンタルで観た。非常に面白かった。

 

今年の4月頃に映画館で宣伝ポスターを見かけた時に、

ドレス姿のジェニロペが迫力ありすぎて、ビビったんですよ。

前作『ハスラーズ』で、彼女はグループを仕切る女親分みたいな役を

演じてたので、ステージ上からジェニロペに指さされるなんて

「マリー・ミー」と言うより「キル・ユー」じゃないのか、と。

何と言っても、指差してる時のジェニロペの表情が「真顔」ですから。

これ、本当にロマンチックな映画なの……大丈夫……と思ったもんです。

 

真顔で指差すジェニロペ。笑顔ならよかったが

 

怖いですよ〜。大名行列でうっかり顔を上げてしまった町民が、

大名に気づかれて、切り捨てられる時のシチュエーションかと思いました。

(注 大名行列では大名の顔を見てはいけないので

行列が通り過ぎるまで、庶民は土下座していたらしい)

 

 

その時は都合が合わなくて見逃したのだが、

今回、レンタルで観て非常に面白かったので、

3回ほどリピート視聴してしまった。

 

なぜ面白かったか、結論から言うと。

その1、女優兼歌姫であるジェニファー・ロペスの実人生とかぶる内容だった事

その2、ヒロインの相手役のキャラクターと脚本が良く考えられていた事

この2点である。

 

 

その1について。

『マリー・ミー』を製作する前の2019年、ジェニロペは『ハスラーズ』と言う

映画を製作し、出演していた。公開当時、映画のチラシにも

アカデミー賞大本命」とコピーを打たれた気合の入った作品だった。

アカデミー賞へのプロモも兼ねてか「サタデーナイトライブ(SNL)」の

ホストもつとめ、それも話題になった。

SNLは日本のHuluでも配信されているので、配信期限が切れていなければ

字幕付きで観れるが、番組についての詳しい記事があるので、

次の段落の下にリンクを貼っておく。

 

記事を要約すると、SNLのホスト回はこんな感じだった。

ジェニロペは、2019年は映画『ハスラーズ』公開と自身のツアーの成功、

また当時付き合っていたヤンキースアレックス・ロドリゲスから

プロポーズされ、非常に幸せな年だった、と語り、

更には20年前にグラミー賞のレッドカーペットで着用し

話題をさらった(バッシングも含め)ヴェルサーチェのドレス姿も

披露した、と言う事である。

www.elle.com

ところがロドリゲスとは、2021年に婚約解消をする。

そのゴシップを知った上で『マリー・ミー』を観ると

「大々的に婚約報告してたのに破局って、まんま本人じゃないすか!」。

wikiによると『マリー・ミー』の映画化は2019年から

始まっていたそうなので、ロドリゲスも罪な事をしますね。

 

また、ジェニロペは今まで色々な役柄を演じてきたと思うが、

自分と同じ歌手の役を演じるのは、おそらく『セレナ』と言う

実在の歌手を演じて以来ではないかと思う。

(全ての作品を追えてないので違っていたらゴメンナサイ)

その辺が、実人生と完全一致とまでは言わないものの、

かなりかぶっていて、面白かったのである。

 

 

その2については、相手役のオーウェン・ウィルソンのキャラクターを

理解する為の重要なポイントがある。

それは、マネージャー役のジョン・ブラッドリーが

ゲーム・オブ・スローンズ」に出ていた英国の俳優だと言う事。

 

それを知ってから映画を観ると、こんなシーンに出会う。

冴えない教師のオーウェンが、ジェニロペにミュージカル「キャメロット」の

ランスロットとグイネヴィア」の話をする。

「『キャメロット』は、殺りくとヌードのない『ゲーム・オブ・スローンズ』だ」。

おっ、これは何かのヒントか? マネージャー役がジョンなのは、

かなり意図的なキャスティングではないのか?

 

続けてオーウェンは「ランスロットはグイネヴィアの為に

一緒に居たいけど、身を引くんだよ」と言うのだが、

ズバリ、オーウェンのキャラクターはランスロット

つまり女王のグイネヴィアを愛し、彼女を守る為に

身を引く「騎士」の役なのである。

 

ジェニロペが女王なら、王は言わずもがな。

映画と同名の主題歌「マリー・ミー」を

ジェニロペとマルーマがデュエットをする場面がある。

そこには「クイーンとキングだ」と言う歌詞が出てくる。

実際に映画の後半、ステージに立ってデュエットする

2人の姿は神々しく派手で、ポップスターのオーラがある。

 

ちなみに、映画にも出てきた「THE TONIGHT SHOW」は実在のトークショー番組。

ホストのジミー・ファロンはSNL出身のコメディアンだ。

新曲の宣伝の為に番組に出演し、「マリー・ミー」を歌う

ジェニロペとマルーマの動画を発見したのでリンクする。

覚えやすくて良い曲ですね。

 

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一方で、オーウェンがジェニロペを学校のダンスパーティに誘うシーン。

車から降りた彼女の手首に、オーウェンが花のコサージュをつける。

これはアメリカ映画によく出てくる「プロム」(=卒業パーティ)の作法。

プロムでは、最後にプロムキングとクィーンを選ぶが、

所詮真似事であり、子供の遊びである。

この辺の対比の描写が上手だな、と感動したのである。

 

考えてみれば、この映画の最大のスペクタクルシーンは

「出落ち」とでも言うべき、ジェニロペが大舞台で

恥をかきそうになる冒頭の出来事である。

ロマコメあるあるとして、結婚式当日

花婿がブライズメイズと浮気して破局と言う

導入シーンは割とベタネタとしてよく見かけるが、

この映画は、その拡大版と言える。

 

『マリー・ミー』は『ノッティングヒルの恋人』のスタジオが

作ったそうで、あの映画もスターと一般人の恋愛が描かれていた。

こちらの元ネタは『ローマの休日』だろうと思うが、

「街角で出会う」のではなく「公衆の面前でピンチの女性を救う」

と言うヒロイックな行為が、前述の映画と違う仕掛けだな、と思う。

ヒロインの窮地を、見ず知らずの白人男性が救うのは、

ある種の騎士道精神と言っても良いかと。

 

余談だが、2019年、ジェニロペがSNLに出た時のスケッチが

『マリー・ミー』と同じなので、リンクを貼っておく。

「お宅改造」の為にテレビが撮影に行ったら、

ゴージャスな女性の結婚相手がダサいオタクだった、と言うスケッチ。

分かりやすい。

 

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現在のジェニロペは今年の夏に、ベン・アフレックと結婚したので、

また結婚ネタで映画(配信のみの可能性あり)を撮ったらしい。

タイトルの「Shotgun Wedding」とはデキ婚を意味する言葉で、

本来は、結婚前の娘を妊娠させられた父親が「ショットガンを構えて、

男に責任を取るよう迫る」のが由来らしい。

しかし、この映画でショットガンを構えるのは女性キャスト達

と言うのが笑いのポイント。

ドタバタ・アクション・コメディっぽくて、なかなか面白そうです。

 

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