アメリカン・コメディ好きの部屋

アメリカのコメディとコメディアンが好きです。時間がある時に更新します。

『エイミー、エイミー、エイミー!』と銃乱射事件

現在、日本でも絶賛公開中の映画『エイミー、エイミー、エイミー ! こじらせシングルライフの抜け出し方(原題 Trainwreck)』。

 

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子供の時に両親が離婚し、父親から「一夫一婦制は悪だ!」との教えを叩き込まれた主人公のエイミー。それから23年後、大人になったアラサーのエイミーは、やりがいのある仕事、気の合う友人もいるが、男性とはけして真面目にはつきあわない。彼氏はいても結婚なんて考えないし、一夜限りの相手も掃いて捨てるほどいて、現代的な自由な女代表! とばかりにシングルライフを満喫していた。

ドラマ『SATC(セックス・アンド・ザ・シティ)』のサマンサもかくや、と言った風情のエイミーだが、仕事で出会ったスポーツ・ドクターのアーロンと意気投合してから、自分の人生を見つめ直す事になり……。

 

主演のエイミー・シューマーはアメリカで大人気のコメディエンヌで、脚本も本人が書いている。自作自演の初主演映画である。監督は40歳の童貞男』や『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』と言った、下ネタ上等のコメディが得意なジャド・アパトウなので、ゲロとかチンコとかクンニなどのお下劣ネタも多い。だが、一見、自由奔放に見えるエイミーの実際は、親の離婚による影響で安定したパートナーシップを築けない女性。アダム・スコットのDVDスルー作品『ファミリー・アゲイン 離婚でハッピー!?な僕の家族』の原題である、A.C.O.D.(Adult Children of Divorce)なのである。

そんな彼女がぽっちゃりした身体で幸せを掴むために奮闘する姿は、そこらの美人女優には出せない愛らしさがあり(キューピー人形とかシャーリー・テンプルっぽい)、最終的には観る者の心をつかむ事うけあいである。

 

 

映画の内容を紹介したところで、本題に入る。

 

 

2015年7月、アメリカで『エイミー、エイミー、エイミー!』が上映中の映画館で銃乱射事件が起こった。容疑者は58歳の白人男性で、3人が死亡、9人が負傷したそう。

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主演のエイミーは当然ショックを受け「なぜ私の映画なの」と語っていたという。

このニュースを聞いた時、私は『エイミー、エイミー、エイミー!』の予告にある、彼女のやりたい放題のイメージが不愉快だったのではないかな、と思った。これが同じ小太り女でも『ブリジット・ジョーンズの日記』だったら、他人の神経をそこまで逆なではしないだろう。「リア充爆発しろ!」もしくは「性の喜びを知りやがって…」ではないが「いい気になって何様だ」という気分になる男性もいると思う。

 

 

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東京タラレバ娘』の主人公も大好きだと言う『SATC』に関しては、知り合いの男性に「とにかくあいつらムカつくんですよ。くそ高い服とか靴とか買いまくってて」と語っていた人がいた。また『夢をかなえるゾウ』でお馴染み、作家の水野敬也さんも自身のブログで「SATC臭」という一種の批判記事を書いている。

 

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「仲の良かった女子にドラマを勧められたがクソつまんなかった」という出来事から、「あいつらは男にモテない」という話につながって行く水野さんのブログ。記事自体も面白いが、コメント欄で『SATC』のファンが猛反発してる所も面白い。

 

 

『SATC』や『エイミー、エイミー、エイミー!』の描写は「今まで男性の十八番だった性的な品定めを女性が女子会でしたり」「性的な主導権を女性が握っていて、男性は使い捨てであったり」と、男女の逆転現象を描いていて面白いけれど、どこか女性が男性の真似をしてはりあっているだけのような、居心地の悪さも感じる。男女平等とは、女性が男性と同じように振る舞う事とは違う訳で。

 

 

余談だが、日本の独身女性に対する『SATC』の浸透力は高いようで、『東京タラレバ娘』も『エイミー、エイミー、エイミー!』も『SATC』を踏襲したピンクのキラキラロゴになっている。

 

Sex and the City

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話を銃乱射事件に戻すと、事件後のエイミー・シューマーは2015年10月10日に自身がホストをした回のSNLで、銃規制に反対する人達を皮肉り揶揄するようなスケッチを演じている。

 

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日本のHuluでも過去に字幕付きで配信されていたが、単純に「銃を規制しろ」と訴えるのではなく、銃規制反対派が文句を言いにくいつくり(いわゆるほめ殺し)になっていて、非常にスマートなスケッチだと感じた。

 

 

また、日本のNetflixで配信中の「エイミー・シューマーのレザー製ですが何か?」はエイミーのスタンダップの舞台で、終盤に事件についてのネタを披露している。銃乱射の犯人には重度の精神障害があり、DVの犯罪歴があったそうで、そういう人間が銃を手に入れられるのは間違っていると主張していた。しかし、そのネタにたどり着くまでが、ほぼほぼ下ネタだった為、かなり唐突な感じがしたが、もしかするとこの話が一番したかったのかもしれない。

 

 

 最後に、先ほどのSNLでのホストの回で、私が個人的にウケたのは、あまりにバカバカしくて「ドリフ大爆笑」かと思った飛行機ネタ。『エイミー、エイミー、エイミー!』の友人役のコメディエンヌ(SNLレギュラーのヴァネッサ・ベイヤー)と再共演している。

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Netflixは加入しないと観れないが、 YOUTUBE上にはエイミー・シューマーがトニー賞を獲ったテレビシリーズ「Inside Amy Schumer」のスケッチが沢山アップされているので、映画が気に入った人は検索してみてはいかが。

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